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Build Back Better(ビルド・バック・ベター)とは・意味

London

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Build Back Better(ビルド・バック・ベター)とは

日本語訳は「よりよい復興」。災害の発生後の復興段階において、次の災害発生に備えて、より災害に対して強靱な地域づくりを行うという考え方。2015年に仙台で開催された第3回国連防災会議で採択された国連文書である「災害リスク削減のための仙台枠組み 2015-2030」で提唱され、防災の世界での世界標準の言葉となった。

潜在的な災害リスクを削減するには、できるだけ災害リスクの低いところに住宅を作り、都市の構造そのものを強靱にしていく必要がある。災害からの復興段階は、災害から得た教訓を生かし、土地利用や構造的な対応など抜本的な対策を取るチャンスでもあると考えられている。

災害を教訓にした、日本のBuild Back Better

Japan

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Build Back Betterという言葉が頻繁に使われるようになったのは、新型コロナの影響が大きいが、災害の多い日本ではそれ以前からBuild Back Betterの考え方が浸透していたと言われている。

その一例が1995年に発生した阪神・淡路大震災である。阪神・淡路大震災は人口集中地域で発生した直下型の地震であり、全壊した住宅だけでも10万棟を超えたと言われている。震災後の関係者による懸命な取り組みにより、建物の耐震化など震災に強いまちづくりが行われ、震災を契機に全国的に住宅や公共施設の耐震改修が進んだ。

また、2011年に発生した東日本大震災の被災地では、例えば、宮城県震災復興計画の理念において、「災害に強く安心して暮らせるまちづくり」や「『復旧』にとどまらない抜本的な『再構築』」、「壊滅的な被害からの復興モデルの構築」などが挙げられており、高台への集団移転や防潮堤のかさ上げなどの取り組みが行われている。

新型コロナとBuild Back Better

COVID-19

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新型コロナの流行により、人の密集する都市部での活動が大きく制限され、世界経済は大きく落ち込んだ。新型コロナがもたらした不況をどう打開していくかが、各国で重い課題となっている。

新型コロナによる経済的な影響が大きくなる一方で、世界の自然環境も危機的な状況だ。気候変動や生物多様性の減少など、人間の経済活動が原因で甚大な環境被害が出ている。自然環境が壊されていくことは、回り回って人間の社会活動や経済活動にも影響を及ぼす。

これからの経済復興を考える際に、単に状況を「もとどおり」にするのではなく、環境負荷の低いサステナブルな計画を立てようとするのが、新型コロナ禍でのBuild Back Betterの考え方だ。自然環境や生物多様性の保全だけでなく、サプライチェーンの循環性向上も提唱されている。

Build Back Betterがもたらす「ウェルビーイング」と「インクルーシブネス」

新型コロナで都市の脆弱性が明らかになった今、「自然災害や社会的犯罪、恐慌など、物理的・社会的・経済的に深刻な事態が発生しても、影響を最小限にとどめ、しなやかに復活できる力」が求められる。これが都市のレジリエンスだ。Build Back Betterは都市のレジリエンスを高めていくために必要な考え方でもある。

都市のレジリエンスが高まると、市民の生活にはどのような変化があるのか。OECDのレポートによると、「ウェルビーイング」と「インクルーシブネス(包摂性)」の向上がもたらされると言われている。つまり、幸福かつ健康である状態が長く続き、不平等が是正され、社会的分断が解消されていくということだ。

build back better

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新型コロナによる被害は甚大だった。しかし、これを改善の契機と捉え、社会・経済復興を目指していく姿勢をどの国・個々人も持つべきなのだろう。

【関連ページ】気候危機
【参照サイト】内閣府 防災情報
【参照サイト】Building back better: A sustainable, resilient recovery after COVID-19




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