Browse By

コンパクトシティとは・意味

自転車と女性

コンパクトシティとは?

コンパクトシティとは、住まい・交通・公共サービス・商業施設などの生活機能をコンパクトに集約し、効率化した都市のこと。または、その政策のことをいう。基本的には脱車社会を目指して、公共交通機関または徒歩で移動できる範囲に都市機能をまとめる。

コンパクトシティという言葉は、1973年頃につくられた造語だ。アメリカでは同義で「ニューアーバニズム」、イギリスでは「アーバンビレッジ」と呼ばれる。

コンパクトシティについての積極的な議論は、ヨーロッパ、アメリカで1980年代ごろ始まった。日本でも同時期に構想は始まったが、人口減少、高齢化などの社会課題が顕在化し始めた2013年ごろから本格的に議論されるようになった。

コンパクトシティ推進の背景

日本でコンパクトシティ構想が活発になったのは、高齢化と人口減少時代に突入し、都市のあり方を見直す必要がでてきたためだ。

これまで都市部では居住コストの安い郊外に人々が移り、市街地が拡散する「スプロール化現象」が進んできた。また、それにより都市部の居住人口が減少し空洞化する「ドーナツ化現象」も社会問題となっている。

こうしたスプロール化、ドーナツ化に加えて人口減少が進むと、中心部が過疎化するだけではなく、行政コストも増加する。市街地が分散していると、公共設備投資を効率的に行えないためだ。

これにより、将来的に公共サービスが地域全体に行き届かなくなってしまう可能性がある。

加えて、高齢化が進むなか、医療福祉機能の適切な配置など、高齢者に最適化したまちづくりが求められている。

コンパクトシティが目指すこと

そこでこのような問題に対処し、人口減少時代において持続可能な都市社会を作るための具体策となるのがコンパクトシティだ。

コンパクトシティでは、都市の生活機能、行政サービスを公共交通の駅周辺などに集約しつつ、居住地域と都市機能をそれぞれ適切に配置する。そしてそれらを公共交通で繋ぐことで、生活に必要なすべての機能がコンパクトにまとまったまちづくりを行う。

コンパクトシティがうまく機能すれば、住民の生活利便性が向上するだけでなく、財政、自然環境、防災の面でも持続可能なまちづくりを行うことができる。

コンパクトシティのメリット

コンパクトシティには、具体的に以下のようなメリットがある。

  • 交通アクセスの最適化・生活の利便性向上
  • 地域経済の活性化
  • 行政コストの削減と自治体のサービス向上
  • CO2排出削減、地球環境への負荷軽減
  • 高齢者および子育て世帯の生活環境向上
  • 防災対策の最適化

コンパクトシティでは、車利用を減らすことでCO2排出を削減できるほか、都市全体でエネルギーを効率的に利用することができる。また、市街地の拡散を抑えることで、郊外の緑地、農地の保全にもつながる。

さらに、子育て、教育、医療、福祉といった生活に必要なサービスがまとまっており、容易にアクセスできる点もメリットだ。このため多くの市民が自立的に、かつ必要な時には地域の支援を得ながら生活することができるとされている。

防災対策の最適化については、災害の危険性が低い地域に都市機能をまとめることで、被害の拡大を抑えられる。 また居住地が集合しているため、災害時に迅速かつ効率的に避難が促せる。

そのほか、個人間のつながりや人間関係の良い変化、郊外から中心地に移転する人は仕事面で選択の自由が増える等のメリットもあるといわれている。

コンパクトシティのデメリット

反対にデメリットとして考えられるのは以下のようなことだ。

  • 人口密集によるプライバシー侵害や近隣トラブルの増加
  • 一部の人にとって家賃や食費などの生活コストが増加する恐れ
  • 災害が起きた際の被害拡大
  • 農業離れによる食糧自給率の低下

現状コンパクトシティは理論だけが先行し、実際のコスト、利益などの細かい考察が不十分な部分もあるという。また無理にコンパクトシティ化を進めることにより、現在ある都市財政のバランスを崩してしまうリスクもある。

農業離れによる食糧自給率の低下については、都市に市民農園や福祉農園を設置するなど、都市農業の振興を進める対策が考えられている。

日本におけるコンパクトシティ成功例

日本では、全国各地でさまざまな自治体がコンパクトシティ政策を進めている。なかでも先行的な事例が、以下の2つだ。

富山県富山市

自動車への依存度が高かった富山市では、2007年から公共交通機関を軸にしたまちづくりでコンパクトシティ化を進めている。

具体的には、街中移住推進事業、ライトレールの開業、株式会社まちづくり富山の立ち上げなどだ。これにより、中心市街地活性化や公共交通機関の利便性向上を図った。

その結果、転入率が上がり、30年間減少し続けていた中心部の人口が増加し始めたという。また地価や税収も上昇しており、コンパクトシティの成功例として注目を集めている。

青森県青森市

中心市街地の人口減少と、市街地拡大による道路・インフラ整備等の行政コスト増加が問題となっていた青森市。

青森市のコンパクトシティ構想は、都市部と郊外をインナーシティ、ミッドシティ、アウターシティと区分し、それぞれの地区で都市機能の役割分担を設定するというものだ。具体的には、生活に必要な生活機能は都市部に集中させ、アウターシティでの開発を原則抑制した。

これにより、中心市街地のマンション建設も増え、居住人口が増加した。また、青森駅前の歩行者通行量も増加しているという。一方で、開発に伴い作られた複合商業施設の経営状況には課題があり、今後の対策が模索されている。

世界のコンパクトシティ成功例

海外の事例として有名なのは以下の2都市だ。

オレゴン州 ポートランド(アメリカ)

ポートランドは1960年代までは典型的な車社会だったが、1979年に「都市成長境界線」という政策を開始した。

これは都市部と農地・森林などを区切る境界線を設け、開発は都市部に集中して行い、郊外では従来の農地や森林の保全を行うというものだ。また住居、職場、商業施設などの生活機能を徒歩圏内に設置。都市部の建物に1階は商業施設、上の階はオフィスまたは住居とする「ミックスドユース」を取り入れた。

これにより郊外への市街地拡散を抑えることに成功し、流入人口も「1週間に約500人が移住する」といわれるほどに増加したという。

フライブルク市(ドイツ)

ヨーロッパ圏におけるコンパクトシティは、環境保護が大きな目的となっている。

ドイツのフライブルク市では、1960年代はマイカー人口増加により渋滞が慢性化しており、大気汚染も深刻だった。

そこで、中心部の交通整備を軸とするコンパクトシティ化を進めた。まず中心部を一般自動車交通不可とし、路面電車と歩行者だけが通行できるようにした。それに伴い周辺の交通アクセス整備を行ったほか、一つの定期券で電車、バス、路面電車など全ての公共交通機関に乗れるようにした。また、自転車移動がしやすいように駐輪場など自転車用のインフラ整備も行った。

これによりフライブルク市は、「環境首都」とも呼ばれるほどの環境先進都市となった。また中心部も、古い街並みを活かした開発が進められ、活性化している。

まとめ

コンパクトシティが成功すれば、人、環境、経済に寄り添った持続可能なかたちで都市を発展させられる。

しかし、まちづくりは多面的で複雑なため、実際に政策を進めると計画通りの成果が得られないことも多い。また開発コストなどが膨らみ、コンパクトシティ政策がかえって自治体の経済を圧迫してしまう場合もある。

コンパクトシティをうまく機能させるには、常に長期的な目線で多面的に都市のあり方を捉え、政策を進めていくことが必要だ。

【参照サイト】コンパクトシティの形成に向けて(国土交通省)
【参照サイト】コンパクトシティ政策について(国土交通省)
【参照サイト】コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築 ~公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり~(総務省)
【参照サイト】コンパクト・プラス・ネットワークのねらい(経済産業省)
【参照サイト】コンパクトシティ関連の国内・海外の事例(北海道滝川市)
【関連記事】パリ市長、職場も買い物にも「15分でいける街」計画を発表




用語の一覧

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行

ま行
や行
ら行
わ行
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
V
W
X
数字

FacebookTwitter