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プロセスエコノミーとは・意味

プロセスエコノミー

プロセスエコノミーとは?

プロセスエコノミーとは、完成品を作って売るだけではなく、制作過程自体で収益を得ることである。

ポイントは「プロセスを共有することが収益を得るメイン」になっているという点だ。商品の機能や性能で差別化を図ることが難しくなった現代、プロセスを共有しファンをつくるプロセスエコノミーが注目を集めている。

連続起業家のけんすう(古川健介)氏が「プロセス・エコノミー」という概念をnote上で提言したことがはじまり。(※1)また、執筆家・IT批評家である尾原和啓氏が執筆した「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」は、予約販売を開始したタイミングでアマゾンの書籍ランキングの1位を獲得。いま注目を集めるマーケティング手法である。

プロセスエコノミーが生まれた背景

プロセスエコノミーとアウトプットエコノミー

プロセスエコノミーが生まれた背景として、まず対義語であるアウトプットエコノミーを説明する。

アウトプットエコノミーとは何かを生み出した、配信したなどの結果を販売し、消費者は結果に対して課金をする。例えば、音楽を制作する段階ではお金を稼がず、世に配信する楽曲のCDやストリーミング配信で売上をあげたり、料理をつくっている過程ではなく、レストランで提供する料理で売上をあげたりすることである。

いわゆる、従来の一般的な商売方法である。

プロセスエコノミーによる差別化

プロセスエコノミーは、アウトプットエコノミーが高いレベルで平準化したため誕生した。けんすう氏はアウトプットエコノミーが平準化した理由を大きく2つ挙げている。

1つ目はインターネットやSNSの普及により品質をあげるための情報が手に入りやすくなっていることだ。これにより、業界全体で技術が標準化しやすく、高い品質や性能がコピーされやすい時代になっている。

2つ目は口コミが広がるスピードである。口コミサイトの普及により、質の高い製品、そうでない製品がすぐに見分けられるようになった。こうしてユーザーが製品を選別しやすくなったことにより、質の悪い製品が淘汰されやすくなったのだ。

こういった流れの中、アウトプットで差別化するのではなく、想いや創作背景、ドキュメンタリーなどを共有しプロセスで差別化するプロセスエコノミーが重要視されている。

プロセスエコノミーがもたらすメリット

けんすう氏はプロセスエコノミーの本質を2点、挙げている。1つ目はプロセスを開示し共感してもらうことで、マーケティングとして作品の知名度を上げること。2つ目は制作中の段階からマネタイズできることにより、アウトプットへのお金を増やすことができる「予算の革命」である。

この本質から、プロセスエコノミーには大きく3つのメリットがある。

1つ目はアウトプットを出す前から資金調達ができる点だ。プロセスを共有することで、共感者や応援者が現れ、最終成果物のための投資や寄付金を募ることができる。サービス制作の裏側やプロセスを開示することで、それ自体にお金を払う消費者もいる。

2つ目は寂しさの解消だ。これはクリエイターなどの創作作業に従事する職種に当てはまる。1人で作業をすることも多く、孤独感を覚えることが多い職種のため、プロセスを発信したり、ライブ配信をしたりすることによる、誰かとのつながりはモチベーションになりえるのだ。

3つ目は長期的なファンを増やせることである。商品やサービスの裏側にある人間の思いや努力、試行錯誤の過程を開示することで、より消費者の感情移入を促し、コアなファンをつくることができるのだ。

プロセスエコノミーの例

プロセスエコノミーの代表例として挙げられるビジネスモデルや事例は下記である。

・クラウドファンディング
商品やサービスをつくる過程を応援者と共有し、資金を募る手法。最終成果物のために資金調達ができるだけでなく、消費者が参画意識を感じるためコアなファンを創ることができる。

・アイドルのオーディション番組
オーディションの過程などアイドルグループ結成のプロセス自体を番組として配信するプロジェクトが増えている。アイドルになる過程から自分のお気に入りの人を応援できるため、感情移入効果が高く、デビュー後も長期的なファンになりやすい。

・ライブ配信やYoutube活動
けんすう氏が立ち上げた00:00 Studio(フォーゼロスタジオ)では、クリエイターが創作プロセスをライブ配信している。Pococh(ポコチャ)やSHOWROOM(ショールーム)などのライブ配信サービスを使い誰もが気軽に配信できる現代では、取り組みやすいプロセスエコノミー手法のひとつである。

・生産背景の発信
サステナビリティやエシカルの観点でも、プロセスエコノミーは商品を選択する際に重要なポイントになりえる。地球環境にやさしく、労働環境がきちんと守られた商品を選びたい消費者が増えている現代、プロセスを開示することは、企業責任としても求められていくのではないだろうか。

商品やサービスのアウトプットだけでなく、作り手の想いや歴史、道のりが全て価値となりえるプロセスエコノミー。売り手、作り手、買い手の全てが、プロセスを大切にすることは、地球や人にとってやさしい企業活動・消費行動のきっかけにもなるかもしれない。

※1 「プロセス・エコノミー」が来そうな予感です(けんすう)

【参照サイト】プロセスエコノミーに注目 過程を見せて顧客巻き込む(日本経済新聞)
【参照サイト】「プロセスエコノミー」の本質とは 名付け親と著者に聞く(日経X TREND)
【参照サイト】【新発想のヒントに】注目される「プロセスエコノミー」とは?(manabu不動産投資)




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