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テロワールとは・意味

テロワール

テロワールとは?

テロワール(Terroir)とはフランス語で、「風土の、土地の個性の」という意味を成す言葉である。一般的にワインの世界で用いられ、「ブドウ畑を取り巻く自然環境要因」のことを指して使われるが、各地の特産食材などを語るときにも使われる。

日照時間・気温・降水量などの気象条件や地質・水はけなど土壌の状態、斜面・平地といった地形の特徴など、すべての自然環境がテロワールに含まれる。最近では、ワインの作り手も、テロワールの一つの要素として捉える考え方もある。

テロワールの歴史

テロワールという言葉がフランス語であることからも分かるように、この概念は、フランスを筆頭としたヨーロッパの国々の人々の「ブドウ畑を取り巻く環境がワインの味わいに大きく影響する」という古くからの考え方が背景にある。

特にフランスでは、1930年代に制定されたワインの生産に関するさまざまな規制を設けた規則「ワイン法(原産地統制名称法)」のベースにテロワールの考え方が強く根付いている。

かつてフランスが悪天候や経済不況に陥った際にワイン産業が打撃を受け、フランスの有名産地を騙るワインが大量に出回るという事態が発生した。そうした偽物のワイン製造を防止することや、それぞれの地域で生産されるワインの個性や品質を守るという目的でワイン法が制定された。

テロワールの考え方は、地域ごとに異なるワインの特性を尊重し、生産者一人ひとりを守り、高品質なワインの生産を実現するという好循環を生み出していると言えるだろう。

自然環境がワインに及ぼす影響

実際に自然環境がワインに及ぼす影響について例をあげると以下のとおりだ。

海沿い

海の近くにあるブドウ畑は四六時中海風にさらされるため、そうした畑のブドウで作られるワインの味わいにも海風の影響が及ぶと言われている。

例として、スペイン北西部のガリシア州に位置する有名なワイン産地リアス・バイシャスでは、海に近い土壌ならではのミネラル感や海風により育まれるフレッシュな酸味を持ち合わせたワインが生産されている。

最近では、日本の新潟県の海沿いの地域でも同じ品種のワインの生産が開始されている。

山の中

山という自然環境がブドウに与える影響は多くあるが、アンデス山麓に広がる有名なアルゼンチンのブドウ畑を例に挙げると、ブドウを生育するためのさまざまな好条件が揃っていることが分かる。

アンデス山脈沿いに広がるブドウ畑は、標高が高くとても乾燥した環境にある。ゆえにカビ防止の薬剤を使用する必要がなく、ブドウの樹々が健全な状態に保たれるというメリットがあるのだ。

さらに高地かつ緯度が高い一方、夜間の気温が十分に低くなる地域特性から、味香の強いブドウが育つと言われている。

テロワールから考えるサステナビリティ

テロワールは自然環境によってワインの味わいが異なるという考え方だが、言い方を変えれば、地域独自の自然環境に逆らわない方法で適した食物を育てることを意味する。

東京・銀座の「ESqUISSE(以下、エスキス)」のエグゼクティブシェフであるリオネル・ベカシェフ氏は、テロワールについてこう語る。

「テロワールを理解しないと、なぜこの料理になっているのかを理解できません。実際の現場に足を運び、その土地の気候風土に触れて、味わったり、見たり感じたりしないとわからないものなのです。自然を感じたことがなければ、良い料理はできません。それは水温や、海水の味、森のにおいなど。もしかしたら身の危険を覚えることかもしれませんね。肉体的に自然と触れ合う経験が必要不可欠です」

気候や土壌が適していないところで食物を育てようとすれば、さまざまな設備や薬剤がより多く必要となり、環境に負荷を与えかねない。製造にかかる費用がかさむことで、品質を落とした商品が出回ったり、製造に関わる会社の従業員や安く働かされたりといった問題が起こるリスクもある。

テロワールは人々をサステナブルな生産活動に導く思考であり、現代にも活きる考え方と言えるだろう。ワイン産業だけではなく、すべての食産業において取り入れられる概念であり、サステナブルな社会を築いていくための一つのヒントになり得るのではないだろうか。

【参照サイト】ENOTECAonline – ワインの味わいを左右する「テロワール」
【参照サイト】ENOTECAonline – ワインの味を決める重要な要素「テロワール」とは?
【参照サイト】アサヒ飲料 – ワインの格付けとワイン法




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