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【まとめ】デジタル・サステナビリティを実現する世界のアイデア5選

デジタルサステナビリティ

デジタル・サステナビリティとは?

インターネット検索やオンラインショッピング、Zoom会議などで、私たちの生活ははるかに便利になった。電子化によって紙の本が電子書籍になったり、音声はダウンロードできるようになったりと、使われる資源が減ったことで一見それが「エコ」になったと考える人も多いだろう。

一方で、そうしたデジタルに関わる環境負荷について考えたことがあるだろうか。実は、全世界の温室効果ガス排出量の3.7%が、そうした私たちのデバイスや、インターネットアクセス、およびシステムのネットワークに起因しているという。そしてそれは航空業界が世界的に生み出した量とほぼ同じであり、排出量は2025年までに2倍になると予測されている(※1)

企業のDX化やリモートワークなどが進む中、こうしたデジタルのサステナブル化は必要不可欠であり、世界ではこうしたデジタル・サステナビリティを考慮した動きが進んでいる。本記事では、それらのアイデアをご紹介する。

デジタル・サステナビリティを実現する世界のアイデア

01. CO2を削減。イタリアのデザインスタジオが作成した「簡素化されたWebサイト」

CO2を削減。イタリアのデザインスタジオが作成した「簡素化されたWebサイト」

イタリアのデザインスタジオ「Formafantasma(フォルマファンタズマ)」は、CO2排出量を削減するために意図的に簡素化したWebサイトを公開した。大きな画像を使わず、フォントには一般的に使われるTimes NewRomanやArialを使用。これによりコンピューターやスマートフォンにデータをダウンロードするために必要なエネルギーが少なくて済み、CO2排出量を削減している。デザインは、インターネット百科事典ウィキペディアからインスピレーションを受けているという。デザインにこだわり続けるデザインスタジオが公開した、簡素なウェブサイト。流行を追うのでなく、自分たちの信念に基づいて作品を作り続ける彼らの姿勢からは、「ほんとうに必要なデザインとは何か」を考えさせられる。

02.排出量を追跡し、パフォーマンスを改善できる「Ecoping」

デジタル=エコ、ではない。英メディアがサイト運営のCO2排出量を大幅削減へ

イギリスの建築・デザイン情報メディア「Dezeen」は、排出量を追跡しパフォーマンスを改善できるサービスEcopingを使用し、コードの変更や、画像形式の変更によってサイトの読み込み速度を改善することで、電力消費を抑えている。Dezeenのウェブサイトでは、実施されてから2週間で、1ページあたりのCO2排出量が21グラムから7.18グラムとなったと発表されている。65.8%の減少効果だ。Dezeenのサイト自体のスピードも速くなり、平均読み込み時間が58.3%短縮されて3.5秒になるなどの効果が出た。

  • 国名:イギリス
  • 団体(企業)名:Ecoping
03.「見えない環境負荷」を捨てられるボックス

デジタルのごみ、溜まってない?「見えない環境負荷」を捨てられるボックス


メールボックスに溜まった、たった数キロバイトのメールや、毎日閲覧するサイトの高解像度画像のローディングが積もり積もって各地のデータセンターの負荷をあげ、CO2排出量を上げている。様々な企業のDXを手掛けるフランスの会社Soixante Circuitsは、デジタルサステナビリティを啓発するごみ箱「IRL Trashcan」を生み出した。スマートフォンでこのゴミ箱アイコンの形をしたデバイスにタッチすると、自動的にメールを削除してくれるというものだ。「デジタル空間にある『ごみ』を、私達がいつも『ごみ』を捨てるように捨てよう」というメッセージを込めたプロジェクトである。

04.サステナブルWebデザインに関する知識を共有する「#sustainablewebdesign」

サステナブルWebデザインの目的は、Webサイトから排出される炭素の量と、そのWebサイトにアクセスするために必要なエネルギーの量を減らすこと。ウェブサイトの読み込みに必要なリソースを少なくすることで、インターネットに電力を供給するために必要なエネルギー量を減らすことが可能だ。人と地球を第一に考えるWebサービスを設計するためのアプローチを促す「Sustainable Web Design」では、人々にサステナブルなウェブデザインを実装するために行っていることをハッシュタグ「#sustainablewebdesign」を使って共有するよう勧めている。

05.WordPressを使ったサステナブルなウェブサイトを制作する「Wholegrain Digital」

英・Wholegrain Digitalに聞く。IT企業は本当の意味でサステナブルになれるのか?【ウェルビーイング特集 #2 脱炭素】


イギリスのロンドンに拠点を置く「Wholegrain Digital」は、WordPressを使ったサステナブルなウェブサイトを制作する企業だ。イギリス国内で大きな注目を集め、Marks&Spencer、Network Railなど大手企業のサイト制作を手掛ける。「必要ないものはサイトに載せない」を徹底し、画像一つとっても、それが意思決定や情報収集に必要な情報なのか、単なる飾りなのか考え抜かれている。公式サイトには様々な他企業との豊富な事例が紹介されているので、ぜひ覗いてみてほしい。

「本当に届けたい人々」に、届いているか?

いかがだっただろうか。2021年7月、IDEAS FOR GOODを運営するハーチ株式会社では、イギリスでサステナブルなWebサイト制作を行うWholegrain Digital社の創立者をお呼びし、「環境負荷のより少ないサイトづくりをするには?」というテーマでレクチャーを行っていただいた。

「サイトデザインに使う色を変える」「必要以上にトラッキングしない」などの具体的なアクションを惜しみなく教えていただいたレクチャー。そして、こうしたデジタルサステナビリティは、環境的側面だけではなく、社会的側面でも重要であるということも学んだ。

「2Gしか使えない環境に住んでいる、災害で最低限の電力消費しかできない、など高速のネット環境が整っていない人は、通信負荷の高いサイトを閲覧できない可能性があります。しかし、そういった人の中にこそ、情報を必要としている人がいるかもしれません」

WebやITに関わる私たちは、「本当に届けたい人々」に情報を届けるために、届け方の部分から見直していく必要がある。

Lean-ICT-Report_The-Shift-Project_2019.pdf




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