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大地の再生とは・意味

大地

大地の再生とは?

大地の再生とは、大地の血管ともいえる水や空気の流れに注目し、自然本来の循環機能を取り戻すことで、環境を再生する手法のことを指す。

たとえば、ダムや道路といったコンクリート構造物が、水や空気の流れを塞いでしまうと、土地は呼吸できなくなり、土壌の乾燥、浸水被害、生態系の崩壊などさまざまな問題が生じる。

これに対し、「大地の再生」は分断された水と空気の道を読み解き、つなぎ直すことで、土地が本来持つ呼吸機能=生態系の循環を取り戻すことを目指す。

国際的にも、愛知目標ポスト2020生物多様性枠組などでも、2050年ビジョンとして「自然と共生する世界(Living in Harmony with Nature)」が掲げられているが、大地再生の手法は、その具体的実現方法の1つと捉えられる。

大地の再生の考え方と具体例

造園技師の矢野智徳氏は、日本全国の各地で「大地の呼吸不全」が起きているとし、人と自然の共生を回復するための活動を続けている。

その哲学は、「自然を100%コントロールする」のではなく、「自然が持つ自己再生力を信じて、必要な最小限の手を加える」ことにある。

これらの考え方は、2010年のCOP10で日本が提案した、SATOYAMAイニシアティブにもつながる。

例えば、京都市の御神木クスノキの樹勢回復の事例がある。あるとき、御神木(ごしんぼく)であり、葉の交代が連続的に行われ、落葉期をもたない常緑樹でもあるはずのクスノキの葉が、茶色く枯れてしまっていた。また、周囲の構造物の圧迫により、根上がりが起き、根の毛細根もなくなってしまっていた。

そこで、クスノキの周りのアスファルトを直径3メートルほどはがし、通気通水の処理を施した。また、側溝に溜まっていたヘドロを吸い上げ、溜まらないよう施工することで、樹勢の弱まっていたクスノキが樹勢を取り戻したのだ。

こうした事例から、どんなに瀕死の状態であっても、生物が呼吸をしている限りは、人の手を適切に入れることで再生することができるといえる。

農業による大地再生

大地の水の流れを再生する取り組みは、農業を営む人たちの間でも注目されている。

「土を育てる」の著者で、リジェネラティブ農業の第一人者でもあるゲイブ・ブラウン氏よれば、農業を営むのに、降水量ではなく有効雨量が重要だという。有効雨量とは、土に浸み込む雨が有機物によって貯められる量のことだ。

例えば、土に浸み込む雨の量が少ないと、いくら雨が降っても、その雨は農場の外に氷土と一緒に流れていってしまう。土に多量の雨が浸み込むことで、表土を守ることにもつながる。

また、土の有機物含有量が1%増えるごとに、1000平米あたり16,000〜24,000リットルもの保水が可能になることがわかっている。つまり、降水量が少なくとも、有機物などの働きにより、土壌に蓄えられた水分で農作物は育つということである。土壌の浸水性や保水性を高めることで、よりレジリエンスを高めることができる。

ゴールは「自然と共生する世界」を構築することだ。しかし、自然は人間の都合に合わせてくれるわけではない。私たちは、自然の声を聞き、流れに学びながら、必要なだけの介入をし、共に生きる道を見つけていく必要がある。

【参考サイト】大地の再生 結の杜づくり
【参考サイト】矢野 智徳さん:あの人の“森”語り:あの人の森は?
【参考サイト】岩屋神社 御神木クスノキの樹勢回復
【参考サイト】なぜソーラーシェアリング と大地の再生の連携なのか?
【参考サイト】君の根は。大地再生にいどむ人々びと
【参考著書】土を育てる〜自然をよみがえらせる土壌革命」




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