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アクアポニックスとは・意味

アクアポニックス

Image via shutterstock

アクアポニックスとは?

アクアポニックスとは、水産養殖(「アクア」カルチュア)と、土を使わずに水で植物を育てる水耕栽培(ハイドロ「ポニックス」)を掛け合わせた循環型の有機農業法のこと。

このシステムでは、魚の排泄物を微生物が分解し、その結果として得られる栄養素を植物が吸収する。これにより、水が浄化され、魚と植物が互いに良い影響を及ぼし合う、持続可能な環境が形成される。

なぜアクアポニックスが注目されているのか

従来の水産養殖や水耕栽培では大量の水が必要とされるが、アクアポニックスはこの問題を解決し、水の使用量を大幅に削減することができる。

また、魚の健康を保つために農薬を使用できないため、アクアポニックスで栽培された植物はすべてオーガニックとなることも特徴だ。また、土づくりや水やり、水替えが必要ないため、資源が不足している国でも行いやすい農法だと言える。

世界のアクアポニックス事例

アクアポニックスは、世界各地で持続可能な農業の一環として注目を集めており、さまざまな地域で成功事例が報告されています。以下に、代表的なアクアポニックスの世界の事例をいくつか紹介します。

アメリカ合衆国

アメリカでは、アクアポニックスが都市農業や教育プログラムの一環として広く採用されている。特に、都市部での食料供給に貢献する方法として注目されている。例えば、ニューヨーク市の「Gotham Greens」やシカゴの「The Plant」などの企業が、廃工場や屋上を利用して商業規模のアクアポニックス施設を運営し、地元の市場やレストランに新鮮な野菜や魚を供給している。

オーストラリア

オーストラリアは水資源が限られているため、アクアポニックスは特に有効な農業方法として採用されている。オーストラリアの「Murray Hallam’s Practical Aquaponics」は、アクアポニックス技術を世界中に広める活動を行っており、教育やコンサルティングサービスを提供している。

シンガポール

シンガポールは国土が小さく、農地が限られているため、食料自給率の向上が重要な課題である。そこで、都市型農業としてアクアポニックスが導入されている。シンガポールの「Sky Greens」は、垂直農業の一環としてアクアポニックスを利用しており、限られた空間で効率的に作物と魚を生産している。この取り組みは、都市部での食料供給を持続可能な形で強化するモデルとなっている。

ケニア

ケニアでは、食料不足や水資源の枯渇に対応するため、アクアポニックスが導入されている。特に、ナイロビの貧困地域では、住民が小規模なアクアポニックスシステムを導入し、自給自足の食料生産を行っている。この取り組みは、食料安全保障の向上と地域の貧困削減に貢献している。例えばケニアで持続可能な農業を推進するNGO「Sustainable Agriculture Community Development Programme(SACDEP)」は、資源に乏しい地域の零細農家を中心に、アクアポニックスを含む持続可能な農業の実践を推進する重要な役割を担っている。ケニアの農村地域や都市部で、アクアポニックスシステムを導入し、住民が自給自足の食料生産を行えるよう支援している。

フランス

フランスにおけるアクアポニックスは、都市農業や環境に優しい持続可能な農業の一環として近年注目を集めていル。Les Nouvelles Fermesは、フランスのボルドーに位置する商業規模のアクアポニックス農場である。ここでは、魚と植物が共生する持続可能な農業システムを実施しており、ティラピアと新鮮な野菜を生産。これらのモデルは、食料の地産地消と環境保護を両立させることを目的としている。Les Nouvelles Fermesは、都市周辺でのアクアポニックスの普及を目指し、地域社会に健康的な食材を提供する。

日本でのアクアポニックス事例は?

日本でもアクアポニックスが注目されており、特に地方での新しい農業形態として導入が進んでいる。例えば、福島県南相馬市にある農業法人は、アクアポニックスによる養殖魚「トラウト」を試験的に出荷している。この試験は、津波や原発事故の影響を受けた地域で、新たな農業形態としてアクアポニックスの可能性を探るために行われたものである。養殖魚は、同施設内で育てられた野菜と共に出荷され、環境に配慮した循環型農業の一環として注目されている。

また、神奈川県横浜市に本社を構える株式会社アクポニは、アクアポニックスを専門とする日本企業の一つである。同社はアクアポニックス農場の設計、施工、運営支援を行うほか、教育事業や啓蒙活動にも力を入れている。さらに、アクアポニックスシステムをパッケージ化し、都市部でも導入しやすい「アクポニハウス」の提供なども行っている。

これらの事例は、アクアポニックスが異なる環境やニーズに適応できる柔軟な農業技術であることを示している。アクアポニックスは、少ない水と土地で持続可能な食料供給を実現する農業技術である。特に都市部や水資源が限られた地域での食料生産に有効であり、地産地消のモデルとして地域経済にも大きく貢献する可能性がある。今後、技術の発展や規制の整備が進むことで、アクアポニックスの普及がさらに促進されるだろう。

【参照サイト】WHAT IS AQUAPONICS?| THE AQUAPONIC SOURCE




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