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人道支援とは・意味

人道支援人道支援とは、主要な国際機関等により「緊急事態またはその直後における、人命救助、苦痛の軽減、人間の尊厳の維持及び保護のための支援」と定義されている。

具体的には、例えば紛争や自然災害などの人道上の緊急事態が発生した時やその後に、援助物資の提供や、救援活動・復興活動・防災活動などの人的支援を行うことを指す。

人道支援の基本原則は、1.人道原則、2.公平原則、3.中立原則、4.独立原則の4つが主であり、それぞれの内容は以下のとおりである。

    1. 人道原則
      どんな状況にあっても、一人ひとりの人間の生命、尊厳、安全を尊重すること。
    2. 公平原則
      国籍、人種、宗教、社会的地位または政治上の意見によるいかなる差別をも行わず、苦痛の度合いに応じて個人を救うことに努め、最も急を要する困難に直面した人々を優先すること。
    3. 中立原則
      いかなる場合にも政治的、人種的、宗教的、思想的な対立において一方の当事者に加担しないこと。
    4. 独立原則
      政治的、経済的、軍事的などいかなる立場にも左右されず、自主性を保ちながら人道支援を実施すること。

人道支援の対応プロセス

人道支援の対応は以下のようなプロセスで実施される。主に援助国政府・民間が資金の拠出を行い、国連機関・国際機関やNGOが支援実施の担い手となる。
人道支援説明図

人道支援に関する国際ガイドライン

人道支援に関しては、以下のような国際ガイドラインがある。

  • 国連「国内避難民に関する指導原則」
    国内避難民の具体的なニーズに対処するための原則
  • グッド・ヒューマニタリアン・ドナーシップ(GHD)基本原則
    現在の国際社会による人道支援の資金拠出が抱える問題点(不十分かつ国・地域の偏りが大きく、また実際の拠出までに時間がかかり過ぎる)に対し、ドナー側の行動に焦点を当て、その改善を通じて、より効果的な国際人道支援の実現を図ろうというイニシアティブ
  • ジュネーヴ諸条約及び追加議定書
    武力紛争が生じた場合に、傷者、病者、難船者及び捕虜、これらの者の救済にあたる衛生要員及び宗教要員並びに文民を保護することによって、武力紛争による被害をできる限り軽減することを目的とした4条約の総称
  • オスロ・ガイドライン
    災害時の国際緊急援助に関する原則をとりまとめたもので、1994 年に国連人道問題調整部(OCHA)が中心となり,45ヶ国と関係国際機関が参加して作成した文書

人道支援の事例

ウガンダの事例
ウガンダは「世界一難民に寛容な国」と言われており、これまでに近隣諸国から多くの難民を受け入れてきたほか、難民に対し移動の自由や就労の権利なども認めている。2016年には、隣国南スーダンの紛争により大量の難民がに流出し、ウガンダでは約140万人の難民を受れた。

このような状況で、まず「緊急フェーズ」の支援として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が難民の保護、国連世界食糧計画(WFP)が難民への食料支援、NGOのジャパン・プラットフォームなどが緊急人道支援を行った。一方で、難民数が急増するなか、難民に対する自立支援やホストコミュニティ支援等の開発協力も重要となる。そこで、「中長期的な開発協力」として、JICAやUNHCR、その他国際機関が連携して、難民とホストコミュニティのウガンダ人に対して稲作研修や収穫後処理の研修を実施するなど、中長期的な支援も実施している。このように、難民・国内避難民に対しては、緊急に必要とされる人道支援とあわせて、中長期的な視点の下に自立を後押しする開発協力を連携させて実施し、危機の根本原因に対処していく方法が取られている。

【参照サイト】「緊急・人道支援の基本概念」(外務省)
【参照サイト】「我が国の人道支援」(外務省)
【参照サイト】「日本の人道支援」(外務省)
【参照サイト】国際連合広報センター「人道支援」

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