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B Corp(B Corporation)とは・意味

B Corp(B Corporation)とは?

B Corporation(Bコーポレーション)は、社会や公益のための事業を行っている企業に発行される国際的な民間認証制度のことで、2006年に始まった。略して「B Corp(Bコープ)」とも呼ばれる。

Bコーポレーションを考案したのは、アメリカのペンシルヴァニア州にあるNPO団体「B Lab」だ。社会貢献のためにビジネスを使う世界的なムーブメントを起こすことを目指しており、B Corporationの「B」は、Benefit(ベネフィット:便益)を意味している。

フェアトレードやオーガニック製品などの商品を認証する制度はあったが、Bコーポレーションは企業そのものを評価する制度である。Bコーポレーションを取得するためには、ビジネスのアカウンタビリティや透明性、社会的パフォーマンス、環境へのインパクトなどの条件をクリアすることが必要だ。

B Corp認証の取得方法

ここでは、大きく4つのプロセスに分けてB Corp認証を取得するための方法を解説する。

1. 「B Impact Assesment」へ登録

まず必要なのは、会社の社会的・環境的パフォーマンスを自己評価するB Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)への登録だ。

以下のサイトから登録ができる。

▶️ B Impact Assessment

2. アセスメントの回答をし、80点以上取得

B Impact Assessmentは、無償でどんな会社でも利用出来るオンラインアセスメントだ。そこが基準としているさまざまな質問への回答をし、80点以上を取得する必要がある。

企業によっては、Bコープの基準を満たすために、社内規定やガバナンス体制の整備も必要になるだろう。

アセスメントで80点以上を獲得したら、ディスクロージャーに関する質問項目にも回答したうえで提出し、B Labによる認証プロセスが開始する。

3. 認証プロセス

認証プロセスでは、B Impact Assessmentの回答に関する証拠資料の提出のほか、B-Labのアナリストによるインタビューも実施される。このプロセスをとおして、B Impact Assessmentの内容が精査されることになる。

4. 正式なメンバーの一員に

最終的に80点を超えれば、Bコープ認証を獲得できる。Bコープの相互依存宣言(Declaration of Interdependence )と同意書にサインし、各企業の収益に応じた年会費を払う。Bコープ認証を継続するためには、3年ごとにB Impact Assessmentを受け、評価を更新する必要がある。

B Impact Assessmentの内容

B Impact Assessmentにはどのような項目が含まれるのだろうか。その内容は、「ガバナンス」「従業員」「環境」「コミュニティ」「顧客」という5つの分野に分かれており、各分野のパフォーマンスを定量的に測定する。アセスメントは全部で約200問ほどであるが、インタラクティブな設計になっているため、企業の規模やセクター、また前の質問の回答によって後の質問が変わるような仕組みになっている。

以下に、質問項目の一部を紹介する。回答方法には、選択式と記述式の両方がある。

ガバナンスに関する質問

    • ミッションステートメントはどのような内容か?
    • 会社の最高レベルの監督者は誰か?

従業員に関する質問

    • 時給換算で最も低い給与は?
    • ボーナスを含む最高報酬額は、最低報酬額のフルタイム労働者と比較して何倍か?
    • 従業員のパフォーマンスに対するフィードバック方法は?

環境に関する質問

    • 再生可能エネルギーの割合は?
    • Scope1~3のGHG排出量は?
    • 水利用についてモニタリング・管理しているか?

コミュニティに関する質問

    • 経営陣における女性、マイノリティ、障害者、少数民族などの割合は?
    • 環境・社会インパクトに関するサプライヤーの評価方法は?

顧客に関する質問

    • 製品/サービスの中に、顧客や受益者にとっての社会的・経済的問題を解決するものがあるか?

B Corp認証を取得した企業

B Corp認証取得は、世界的に急増している。2024年5月現在、世界100か国以上で8,400以上の企業がBコープ認証を取得している。2016年時点の認証数が1,700社程度であったことから、過去8年で約4.7倍に増えていることになる。Bコープ認証企業は、公式サイトで検索することも可能だ。

アメリカのカリフォルニア州で初めてB Corp認証を取得したのが、アウトドア用品の「Patagonia(パタゴニア)」である。他にもアイスクリームメーカーの「Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)」や、アメリカ発祥のシューズブランド「Allbirds(オールバーズ)」、ドイツの植林が出来る検索エンジンを運営する「Ecosia GmbH」などが名を連ねている。

フランスに本社を置くダノンは、2025年までに世界中の子会社がB Corp認証を取得することを目指しており、ダノンジャパンをはじめとする各国の子会社がB Corp認証を取得している。

日本におけるB Corp認証の広がり

近年、B Corp認証を受けた日本企業は少しずつ増えてきている。ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシや、素材の研究・開発をしている「株式会社 シルクウェーブ産業」や造園業の「石井造園株式会社」、埼玉県で、地域密着型の介護サービスを提供する企業「フリージア」などが取得している。

IDEAS FOR GOODを運営しているハーチ株式会社も、2023年4月にB Corp認証を取得した。

公益性の高い企業のための認証「B Corporation™」を取得しました

B Corp認証を取得する日本企業の一覧は、公式サイトの中でも以下のページから見られる。

▶️ Find a B Corp

また、日本のB Corpムーブメントを推進しグローバルな動きとつなぐ役割として、B Labオフィシャルパートナー「B Market Builder Japan(BMBJ)」が国内で活動を展開している。国内外のB Corpに関連する情報を取りまとめており、BMBJダッシュボードにてリソースやイベント情報なども共有している。

B Corp認証企業の上場

B Corp認証はどのような規模のどのようなセクターの企業でも取得することができるが、認証を受けてきた企業の多くが、非上場の中堅・中小企業であった。B Corpは、株主だけではなく従業員や顧客、社会や環境に対しても便益を生み出すことを目指すため、非上場企業のほうがそのコンセプトにフィットしやすいというのは当然のことである。一方で、近年は上場企業がB Corp認証を取得したり、B Corp認証の非上場企業が上場するといったケースも増えている。

たとえば上記で紹介した株式会社クラダシは、2023年の6月に東証グロース市場に上場し、日本で初めてのB Corp認証企業の上場として注目された。B Corpへの関心の高まりとともに、上場企業が株主利益と社会や環境に対する便益の両方を実現していくことに大きな期待が寄せられているが、株主利益と社会への便益の両方を追うことの難しさも指摘されている。アメリカの企業で、B Corp認証を取得した後に上場したが、利益を追求する投資家からの声によりコストの合理化などを迫られ、認証を放棄したという例もある。

今後もB Corp認証企業が増えていくと予測されるなか、上場マーケットでB Corp企業がどのような発信を行いどのような評価を受けていくのか、その動向が注目される。

【参考サイト】B Corporation
【参考サイト】Why Companies Are Becoming B Corporations
【参考サイト】社会的企業「Bコープ」日本初上場へ、株主利益と公益の二兎追いに賛否

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