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きょうだい児とは・意味

きょうだい児とは?

障害や慢性的な病気といった日常的に介護やケアなどを必要とする兄弟姉妹のいる子どものこと。ひらがなの「きょうだい」は、姉妹、兄妹、姉弟などすべての組み合わせを表すものだ。近年、当事者たちの発信や支援活動の広がりとともに社会的認知が高まりつつある。

きょうだい児が抱える問題や悩み

きょうだい児が直面する経験は多様であり、生きづらさを抱えるケースも多いことが研究から示されている。ここでは、よく報告されている傾向を例として挙げる。

  • 親にかまってもらえなかったり、甘えたりできず孤独感を覚える
  • 聞き分けの良い子、できる子であることを期待される

これらは幼少期の頃に感じやすく、我慢を強いられることで、将来的にメンタルに不調をきたすことなどもある。

  • 周囲からの障害者への偏見などを恥ずかしく思う
  • 障害のある兄弟姉妹から暴力をふるわれたり、嫌がらせを受けたりする

これらは学生時代など、成長とともに気になるようになることが多い。兄弟姉妹に対して恥ずかしさや疎ましさを感じることで、逆に自分に罪悪感を持ったり、自己肯定感をなくしたりすることにつながることもある。

  • 就職、結婚、出産などの際に選択肢が狭まり、希望する道を選べないことがある
  • 親が亡くなった後など、自分が障害や病気のある兄弟姉妹の面倒を見なければいけないという将来に対する不安がある

これらは成人してから見られることが多い。さまざまな進路を決める際に兄弟姉妹のケアを優先することや、周囲の目を気にすることで自分の希望どおりの選択ができず、自分らしい人生を送れていないと感じるケースもある。

障害や病気を持つ兄弟姉妹がいることで家族の絆が強くなるなど、ポジティブに捉えられる側面もある。一方で上記のような問題や悩みが蓄積することで、自分でも気づかないうちにストレスを抱え、精神的に不安定になったり、人間関係に影響が出たりすることもある。

注目される背景

きょうだい児への注目が高まってきた背景には、ヤングケアラーの社会的認知の拡大がある。ヤングケアラーとは大人が担うような家族の介護や世話、家事などを日常的に行っている18歳未満の子どもを指す言葉である(※)。きょうだい児がすべて家族のケアをしているわけではないが、中には兄弟姉妹の介護や精神的ケア、家事の負担などを担う子もいる。このような子どもらはきょうだい児であると同時にヤングケアラーであるとも言える。

※ ただし、政府は、支援対象として18歳未満の子どもだけでなく、家族のケアのために働けないなど支援が必要な18歳以上の若者も対象に含めることを示している。

2020年に文部科学省や厚生労働省がヤングケアラーに関する実態調査を実施し、学校や自治体による支援体制の整備を進める動きが見られる。そのなかで、「家族のケアをしている子ども」という存在が一般的に認識されるようになり、きょうだい児もそれに関連し認知が広まっている。

加えて、きょうだい児としての経験をSNSや書籍を通じて発信する当事者の人たちが現れ、その声に注目が集まり、当事者同士がつながる場や支援団体なども増えている。「Sibkoto(シブコト)」や「きょうだい支援を広める会」などが代表的だが、「うぇるしぶ」では全国のサポート団体の検索などもできる。

公的な支援としては厚生労働省が2015年から、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の中で、きょうだい児を含む患者・家族の相互交流事業などを実施しているが、まだ限定的なところもあり、さらなる支援が求められている。

きょうだい児に対する周囲の理解と支援の必要性

きょうだい児の支援における課題は障害福祉という社会課題とも深く関連しているにもかかわらず、その実態は正確に把握されておらず、社会的にもまだあまり知られていない。また、きょうだい児が抱える問題もひとりひとり異なり、必要なサポートもさまざまだ。公的な支援や教育機会や情報の提供、学校や地域社会など家族以外とのつながり、親の意識改革など、社会全体で包括的なサポート体制を築いていくことが必要だ。

[参照サイト] Sibkoto シブコト | きょうだい児とは
[参照サイト] atGPしごとLABO | きょうだい児とは?きょうだい児が抱えがちな不安やストレス、問題など
[参照サイト] ファミケア | きょうだい児とは?課題や支援、きょうだいの気持ち、ヤングケアラーとの違いなどを紹介
[参照サイト] 日本きょうだい福祉協会
[参照サイト] こども家庭庁 | ヤングケアラーの実態に関する調査研究
[参照サイト] 日本財団ジャーナル | ヤングケアラーの「きょうだい児」の本音

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